美しい幾何学模様の街──バルセロナ

美しい 幾何学模様 バルセロナ の街並みは、建築装飾やタイルのパターンが豊かで訪れる人を魅了します。この記事では、美しい幾何学模様の注目しながら街を歩く楽しみ方を紹介します。

空から見たバルセロナは“板チョコ”

バルセロナを上空から見下ろすと、整然と並ぶ四角い街区が目に飛び込んできます。まるでチョコレートの板を割ったかのような姿。その理由は、19世紀に導入された独特の都市計画にあります。


エイシャンプル地区とは?

バルセロナ中心部に広がる近代的な拡張地区「エイシャンプル(Eixample=カタルーニャ語で“拡張”)」は、格子状に整備された街並みが特徴です。
各街区は正方形ですが、四隅が45度にカットされており、角を削った独特の形状をしています。カタルーニャ語ではこれを 「xamfrà(シャムフラ)」、スペイン語では 「chaflán(チャフラン)」 と呼びます。

この整然とした区画が、古い城壁都市の隣に広がり、旧市街(ゴシック地区など)と新しい都市が接続するかたちで融合しました。


設計者と背景

この計画を担ったのが イルデフォンソ・セルダ(Ildefons Cerdà, 1815–1876) です。
19世紀、産業革命によって人口が急増したバルセロナでは、中世の城壁に囲まれた旧市街が深刻な過密と衛生問題を抱えていました。そこでセルダは、都市を「健康」「光」「風」に開かれた空間とするため、大規模な拡張計画を提案しました。


角をカットした理由

  • 交差点での 視界を広げる ことにより安全性を確保
  • 馬車やのちの 自動車が旋回しやすくする 配慮
  • 風通しと日当たり を改善し、居住環境を快適にするため

この工夫によって、通りは開放感と秩序を併せ持つ景観を形成しています。


中庭の存在と現実

セルダの構想では、各ブロックの中央には 中庭(パティオ)や緑地 を設け、住戸へ光と風を取り入れることが意図されていました。
ただし現実には、後年の開発で多くの中庭が駐車場や低層建築に利用されてしまい、当初の理想どおりに機能しているものは限られています。

それでも残された中庭を訪れると、都市の中に静かな緑の空間が息づいているのを感じられます。


ガウディ建築との関係

広々とした大通りと均整の取れた街区は、芸術的な建築を際立たせる舞台にもなりました。
たとえば カサ・バトリョ や カサ・ミラ(ラ・ペドレラ) は、整然としたエイシャンプルの街並みに並び、かえってガウディ独特の曲線美を強調しています。


“板チョコ”の街を歩こう

バルセロナのエイシャンプルは、世界的にも先駆的な「近代都市計画」の実例です。空から眺めると“板チョコ”に見えるその街並みは、地上を歩けば光や風が流れ込む心地よさを体感できます。
次に訪れるときは、ガウディ建築だけでなく、都市そのものが持つデザインの美しさにも注目してみてください。


旅をもっと楽しむ一言

カフェでこんなフレーズを試してみましょう。

「¿Me pone un chocolate con churros, por favor?」
(チュロス付きのホットチョコをお願いします)

現地の言葉で注文できれば、旅の楽しさもぐっと広がります。
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